vol.72社会医療法人 畿内会 岡波総合病院
20世紀後半から21世紀、日本人の寿命が30年も伸びたことを考えると、医療はすさまじい進歩を遂げたと言えます。しかし、医療は疾患に関する病因の追究や治療を実施するだけでは充分ではありません。
医学における専門知識の重要性は言うまでもありませんが、それ以上に大切なことは人間性にあると考えられます。病める患者様の治療には、現在では忘れられている“仁”が必要なのです。医療は崇高な生命を左右する職業であるため、我々は常に“ヒューマニティ”の原点に立って行動すべきと考えます。医療は人間としてのいたわりの心、犠牲の心、誠を尽くす心、すなわち“人間としての愛”からの公使でなければなりません。
今後も、岡波総合病院が常に地域の皆さまに愛され、親しまれるためには、医療人としての基本である、“人間としての愛”からの行動が、職員から発揮され、患者である皆さまに感謝されて受け入れて頂いた時、はじめて「おかなみさん」と親しまれる病院として認められるのだと思っております。
就職後一年間は研修期間として、基本的な看護技術を中心にきめ細かな指導を実施しています。各病棟の特殊性を学べる研修内容に工夫して指導しています。研修担当者が各個人について指導します。また、eラーニングを取り入れ、自宅でも最新の情報で学習できるシステムを導入し、個人に合った学習方法ができる体制も整えています。
2年目からは、さらに専門的な知識・技術が必要な人工呼吸器・心電図・輸血・救急処置などに対応できる能力開発のプログラムを組んでいます。
3年目からは、自己の看護の考え方の基礎となる看護理論について考えられるよう、ナイチンゲール看護をベースに「自然治癒力を引き出す看護」について深めています。
4年目以後、キャリア別にコースを組んで、日常業務実践上の課題解決に役立つ研修を勤務時間内に行っています。また、リーダーシップが発揮できるよう、実習指導者・主任・など管理理論についての研修を行っています。
専門看護師等による特定分野の専門性を高めるコース
計画書作成や文献検索から細かく指導を受けながら研究に取り組みます。
最初は教師か看護師を考えていました。教師は推薦で就職できそうでしたが、私は負けたくない性分でしたので、男性と同じ職場はどうなんだろうと思ってしまいました。でも看護師は女性だけの職場でしたので、自分の力を最大限に発揮できると思ったのが理由です。そして、一生続けられる仕事であると感じたことも理由ですね。
学生時代に尊敬できる師長の講義を聞き、その師長のもとで働きたいと思い、長野赤十字病院の脳神経外科に入職しました。そして大阪赤十字病院でも、脳神経外科の病棟に配属していただいたんです。今でもその選択は良かったと思っています。脳神経外科は手術後、看護師に委ねられますが、その看護によって良くなったり、悪くなったりするので、遣り甲斐があります。楽しくて仕方がなかったですね。そして岡波総合病院で脳神経外科を開設するときに、それまでの経験を買われ、脳神経外科の責任者に任命されたのも何かの縁でしょうね。
看護をすればするだけ、患者さんの病気が治るわけではないですが、看護的には良くなってきたり、できなかったことができたり、食べられるようになったりします。誰かがしないといけない仕事ですし、誰でもできることでもありません。私が看護することにより、少しでも良くなってもらえるのならという思いと使命感がありましたね。
地域密着型で、地域の方たちとともに歩んでいる病院です。家族的な雰囲気で、地域の方たちからは「岡波さん」と呼ばれています。岡波総合病院は日本の看護レベルの平均より上にいなければならないと思っており、病院としては教育投資を惜しまないスタンスです。年間3回は無条件で学会に出席できますし、学会費、交通費も全額、病院が負担します。新卒の看護師でも行けますよ。学会で聞いてきた内容を患者さんや同僚に話してもらうだけでもいいです。積極的に外に行って、勉強してもらえるように取り組んでいます。
病院の中だけにいるのではなく、地域全体の看護ができる体制づくりを考えています。いわゆる訪問看護のスタイルではなく、病院の看護師が患者さんの退院後にご自宅を訪問して、様子を見たりもしています。また退院した患者さんに病院に来ていただいて、家族の方ができる看護のセミナーを行っています。このような取り組みを通して、地域の看護力を高めていきたいと思っています。
思いやりが持てる看護師さんです。自慢話ですが、大学病院から退院してきた患者さんが当院に来られたときに天使に会ったような気がしたと言ってもらえた看護師がいるんです。技術や知識が特に高いわけではないんですが、ほっとした気分になられたんだと思います。技術や知識は必要ですが、それだけではなく、思いやりが必要です。
岡波総合病院に入職を決めた理由をお聞かせください。
高校卒業後、岡波総合病院で介護の仕事を5年ほど経験しました。そこで、看護師になろうと思い、岡波看護専門学校に入学したんです。岡波総合病院はもともと勤務していた病院で慣れていましたし、スタッフの方も良い人達なので、また働きたいと思いました。また、介護職で就職したときも待遇がすごく良かったので、看護師として再就職しました。
現在のお仕事の内容を教えてください。
入職時は外科病棟に配属されましたが、2012年4月に小児婦人科病棟に異動になりました。外科病棟のときは30人前後のスタッフで、手術前後の看護や急性期や慢性期の緩和ケアなどの仕事をしていました。現在の小児婦人科病棟は女性の患者さんが多く、小児もいます。小児の患者さんは外科とは違って、自分で訴えることができません。私自身がしっかりと観察しないといけないですし、お子さんだけでなく、親御さんに対しても指導をしていかなければなりませんので、少し大変です。
お仕事のどんなところに遣り甲斐を感じますか。
入院するときは子どもさんは元気がない状態で、親御さんも不安で心配な様子なんですが、退院するときにはお子さんは走れるぐらいに元気になり、親御さんから「ありがとう」と言っていただくと、遣り甲斐を感じます。
病棟の雰囲気はいかがですか。
外科も小児婦人科もスタッフの仲が良くて、和気藹々です。主任や師長に対しても話しやすいですし、相談のための時間も取ってもらえます。小児婦人科病棟は現在15人位で、年齢も20代から30代と幅広いです。外科病棟から異動してきたときは皆が上品で、おとなしい人が多い病棟だと思いました。外科病棟は少し騒がしいところがありましたので戸惑いましたが、今は楽しく仕事しています。
岡波総合病院に入職したとき、どのような研修がありましたか。
入職して1週間位は担当の先輩看護師からオリエンテーションをしてもらいました。病棟に配属になってからはプリセプターについてもらい、基本の業務や器具の使い方などを習いました。
岡波総合病院での勤務で、どんなことが勉強になっていますか。
ラダーが組み込まれているので、レベルに合ったことを学ぶことができます。研修や出張など、院外の研修の機会も豊富にあります。興味のある内容の研修に行きたければ、行かせていただけます。私は糖尿病の委員会のメンバーで、フットケアの研修に行かせていただきました。研修後は学んできた内容をスタッフに教えています。
辛かったことはどんなことですか。
スタッフが少ないときに、病棟に不穏な状態の患者さんがいて、手が回らないときが辛いです。また、患者さんが亡くなったときも辛いですが、ご家族の方に良い看護をしてくれて良かったと言っていただくと報われます。
福利厚生などはいかがですか。
福利厚生はすごく良いですね。寮も綺麗ですよ。24時間の託児所もあるので、子どものいる看護師さんも安心して働けます。慰安旅行も充実していますし、クリスマス会などもあります。日帰り旅行もあり、気軽に参加できます。アットホームな病院です。
将来の目標をお聞かせください。
専門性を高めていきたいです。外科病棟にいたときに創傷ケア、傷のケアをすることに携わっていて、さらに知識を高めていきたかったのですが、異動後の現在は糖尿病の知識を高めないといけないと思っています。何か一つのことを極められる看護師になりたいです。ほかの看護師さんに「これは古家に聞けば分かる」と思われるのが理想です。
岡波総合病院に入職を考えている看護師さんや看護学生にメッセージをお願いします。
院外の教育が充実していて、先輩も優しいので、何でも聞ける病院ですよ。分からないことを基礎から学べるように、ラダーによるプログラムが組んであります。ステップアップするにはとても良い病院です。
vol.72社会医療法人 畿内会 岡波総合病院