第27回 黒岩裕治の頼むぞ!ナース

黒岩祐治の頼むぞ!ナース

黒岩祐治
ジャーナリスト。国際医療福祉大学大学院教授。早稲田大学大学院公共経営研究科講師。医療福祉総合研究所(スカパー・医療福祉チャンネル774)副社長 <プロフィール>

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▼バックナンバー #1〜#49

 



 

第27回 〜中西医結合医療とは〜

 BSフジの「リュウイン先生の楽食美人〜漢方レシピでヘルシーエイジング」はこの8月に始まりましたが、企画した私の想像以上にいい番組になりつつあります。ゲストのためにリュウイン先生が選んだ食材を、フレンチの巨匠、三國清三シェフが独創的な料理に仕上げ、それを食しながら、ヘルシーエイジングについて語るトークショーです。

 この番組は気楽に見られる楽しい料理トークショー風に作ってあります。しかし、私の狙い、本当の思いは別のところにあります。それは新しい医療のあり方に対する私なりの提言なのです。医食同源の漢方の知恵を生活の中に取り入れることが、日本の医療を救う鍵となると私自身が確信しているからです。

 リュウイン先生は北京生まれの美人ドクターです。中国で漢方医の資格を取った後、アメリカに渡り、日本に来て20年、西洋医学の医学博士でもあります。西洋医学の技術と漢方の知恵を融合させた中西医結合医療の実践者です。彼女によって私の父のガンが完治したという話は以前にも紹介したことがありました。

 12センチ、腫瘍マーカー5800(40以下が正常値)という絶望的な末期の肝臓ガンに冒された81歳(当時)の父は、リュウイン先生の食の指導も含む中西医結合医療の実践によって、結果的には3センチ、腫瘍マーカー20にまで小さくすることができました。まだ3センチあるものの、実はただカスが写っているだけで、実質的なガン細胞は消滅しているというのが西洋医の診断でした。

 余命3ヶ月あるかどうかと言われた父が、リュウイン先生に出会って2年、83歳になった今も食欲旺盛でピンピンしています。まさに奇跡的な回復を遂げたのですが、こういう体験を少しでも多くの人に分け与えたいという思いで始めたのがこの番組です。

 私の父を救った食材は“蒸した長芋”でした。これは漢方では山薬という生薬です。長芋を干したのが山薬で、胃の吸収力を高める効能があり、まさに生命力の根源を支える食材=薬です。中国では糖尿病、高脂血症、内臓脂肪が気になる人の薬や、滋養強壮の薬膳料理などに使われるそうです。

 父は一日3食、蒸した長芋を食べ続けることによって、食欲が増し、体力を回復させていきました。同時に漢方ドリンクと煎じ薬を飲み続けましたが、西洋医学的な治療はいっさい行ないませんでした。それでもガンを消滅させることができたのです。病巣に対する攻撃的医療ではなく、自己免疫力を高め、自然治癒力を回復させることによって、ガンに勝ったということです。ガンを消滅させるのではなく、共生していこうと考えていたのですが、ガンの方が先にギブアップしたのかもしれません。

 番組で、毎回、ゲストに合わせて食材を選ぶというのは、ここにヒントがありました。記念すべき番組の第一回目のゲストは世界的なデザイナーのコシノヒロコさんでしたが、おなかの働きが弱いという彼女のために選んだ食材が、まさに長芋でした。実はコシノさんはすでにリュウイン先生から長芋の話を聞いていて、毎日、食べるということを実践されていました。「電子レンジで6分間加熱するのが一番美味しい」というのが、体験的に得たコシノ流長芋健康術でした。

 これを三國シェフは「和牛と長芋の蒸し焼きと長ネギとほうれん草のキャベツ包み」と「フォアグラと長芋の蒸し焼き、三種のピーマンと夏トリュフのソース黒胡椒味」というオリジナル料理に仕上げました。長芋はフレンチで普通に使う食材ではありませんが、さすがに三國シェフの腕にかかると魔法のように、豪華フレンチに生まれ変わってしまうのでした。

 2回目以降は、鳩山幸さんに「スイカの皮」、片岡鶴太郎さんに「クルミ」、熊本マリさんに「ナツメ」、有森裕子さんに「ユリネ」などが食材としてそれぞれ選ばれましたが、いずれも長芋同様、中国では生薬として使われているのだそうです。特に「スイカの皮」には笑ってしまいました。鳩山幸さんも三國シェフの腕にかかってどんなご馳走が出てくるのかと楽しみに来られたようですが、食材が「スイカの皮」と聞いて、一瞬言葉を失っていました。

 しかし、三國シェフはこれを「鮎とスイカのベニエ、ビール味、スイカの皮で創ったソース、大葉と天然塩合え」と「夏野菜のラタトウィユ、トマト味、スイカの皮で創ったゼリー合え、黒米と松の実添え」というこれまた豪華なフレンチに変えてしまいました。三國シェフはスイカの皮の渋みと苔を食って育った鮎の渋みが近いと感じたことから直感的に閃いたのだと言います。スイカの皮をゼリーにしてしまうなんて、まさに三國さん特有の天才的発想と言えそうです。

 ちなみに「スイカの皮」には解熱効果と利尿作用があるのだそうです。スイカの皮を干したものを煎じて飲むと高熱も一気に下がると言われており、中国の家庭にはなくてはならない“常備薬”ということです。真夏にスイカを食べるというのも、あながち無関係ではなさそうです。

 父もガンを克服した後、原因不明の高熱が3週間もの間、続いたことがありました。抗生物質がなかなか効かず、さすがのリュウイン先生にも焦りが出てきました。高熱によって自己免疫力が落ちてくると、封じ込めたガンが再発するかもしれないと言うのです。その時、スイカの皮を煎じて飲まそうということになり、冬のスーパーでスイカを探し回りました。ようやくスイカが見つかり、いざ使おうということになった時、たまたま熱が下がり始めたために、実際には使わずじまいではありましたが。

 このように食と薬がいかにつながっているかをひとつひとつ確認していくことによって、医食同源の哲学が自然と身についてくるような気がしてきます。キーワードは「ヘルシーエイジング」と「未病」です。未病とは病気になる直前の状態であり、未病を治すということが漢方の根本哲学のひとつです。つまり、病気になる前に治してしまおうということです。

 リュウイン先生は未病医学研究センター所長で、まさに彼女こそ、日本の未病研究の第一人者です。最近は未病という言葉をCMでも使うようになってきて、かなり一般化してきました。メタボリックシンドロームも未病の一種で、関心は高まっています。高齢化社会が進む中で、病気にならないでいつまでも元気にいられれば、みんなが幸せになるでしょうし、医療費の高騰も抑えられるでしょう。

 私は決して漢方薬や漢方治療を普及させようと思っているわけではありません。あくまで西洋医学の知識・技術と漢方の文化・知恵・哲学の融合を目指しているのです。父親の高熱が続いた時、リュウイン先生は「今は西洋医学の出番です」と言って、漢方的なアプローチを中断していました。あまりにも長期化したため、スイカの皮を使ってみようとしたわけですが、西洋医学の得意技と漢方の得意技は違います。それぞれのいいとこ取りをしようというのが、中西医結合医療なのです。

 未病を治し、健康でいつまでも若く美しくいられる鍵を握っているのが食材です。薬を飲めば医療費や薬剤費がかかりますが、食材は食費の中で処理できるものです。高価な食材を使うわけでもありませんから、負担は最小限に抑えられます。情報がしっかりと整理されて、誰でもアプローチできるようになっていれば、みんなが有効活用できるに違いありません。

 この番組が続いていくと、どの食材がどんな風にいいかのをまとめた情報のプラットホームが出来上がるはずです。それぞれの体質、症状に合わせて、一般家庭で日常的に適切な食材を選び、調理することで、健康を維持できるようになれば、薬に依存することも激減することでしょう。それが私の考える新しい医療の姿なのです。本当はそれは現代の日本人が忘れてしまっているだけで、日本では古来から受け継がれてきた生活養生の知恵だったかもしれません。まだその挑戦は始まったばかりですが、このチャンスを活かしながら、大きな夢に向かって進んでいきたいと思っています。

参考
「リュウイン先生の楽食美人」
木曜日22時半〜、土曜日7時半〜(再放送) BSフジ http://www.bsfuji.tv/top/

未病医学研究センター http://www.mibyo-center.org/





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